4thカマロと兄弟車ながらも独自路線を築く
いわゆる4世代目となるファイヤーバードトランザムは1994年に登場した。当時はまだコルベットはC4世代末期の時であり、4thカマロとトランザムが同時期に4代目へと進化したのである。
ということで兄弟車たる4thカマロと同じ5.7リッターV8エンジンを搭載し(=C5コルベットとも同様)、300hp越えのスポーティカーとして魅力的な存在であった。
ボディは、それまでの直線的なデザインから流線型スタイルへと変化し、リトラクタブルヘッドライトを備えたそれは、スポーツカーへの変身を予感させたのである。
だが1998年、4thカマロと同様にマイナーチェンジが行われフェイスリフトを敢行する。
それまでの流麗なスポーツカー風のスタイルから一転、よりマッチョなマッスルカー的なスタイルへと変身。リトラクタブルヘッドライトは継承されたものの 形状が全面的に見直され、それまで窪んでいたボンネットフードは、巨大な筋肉のごとき盛り上がったツインポートスクープへと変更され、全体的に力強さを連 想させるアメリカンスタイルへと変貌を遂げたのである。
と同時に、搭載されるエンジンにも手が入った。4thカマロおよびC5コルベットと同様のLS1オールアルミ製のV8エンジン(305hp)を搭載し、 WS6ラムエアとパフォーマンスパッケージと呼ばれる「ラムエア リミテッドWS6」も同様にラインナップされ、ファイヤーバードトランザム的には世代最高レベルのマシンが誕生したのである。
ちなみにこのLS1エンジンは、2000年に310hpにパワーアップし、WS6ラムエア搭載モデルで325hpを発生させるに至った。だが……。2002年、4thカマロ消滅と時を同じくして、ファイヤーバードトランザムはその歴史に幕を下ろすことになる。
この2002年、最終モデルとして「コレクターズエディション」が登場する。イエローボディでホイールがブラックの限定車。ラムエアフード周辺には火の鳥のステッカーが貼られトランザムとして33年の歴史を主張しているかのごとく目立っている。
マッ チョなスタイルが目立つ4代目最終モデル。だが、リトラクタブルヘッドライトを上げると一転、スポーティカーとしての雰囲気が高まる。極めてオーソドック スなアメ車的ハンドリングと濃密なアメリカンV8とのコラボ。久々に乗ったが、この年代のトランザムは一言、「カッコイイわ」。
90年代によく見た爬虫類系のリアテールのデザインが垣間見れる。ボディ前後はマッスル系を体現しているが、ボディのサイドラインは一転して穏やかなラインを形成している。このアンバランスさもこの時代の魅力。
巨大な筋肉のごとき盛り上がったボンネットフードとツインポートスクープはラムエアの専売特許。ラムエアでないモデルは、スクープ形状と大きさが異なっている。